エブリディマジック

ALGのサプリメント『エブリディマジック』とGF別冊『ウェポンスミス』のALGリプレイ「紅き世界より来たる者」を読みました。


同系列の『ウィンカスター・フォーチュンサービス』を読んだ時にも、すごーい、シナリオがない時にはこれで遊べばいーじゃんと感心しきりだったのですが、それなりに豊富にシナリオが提供されているので、実際に使う機会もなく。


またGF10-6のALFリプレイ「砂漠の異教神」を読んだ時には、ほー、実際にはこんな風に遊ぶのかぁ。(カジュアル環境では)結構遊べそうだなぁというぐらいの感想しかなかったのです。


しかし『エブリディマジック』でゲームマスターパートが(若干)充実して、さらにリプレイで実際の遊び方を読むと。
あれ?あれ?あれ?と思うところがあり。


もしかしてこれはシナリオを作るだけのツールというだけじゃなく、
今までとは違う遊び方の提示をしていない?
と個人的に思ったりしたのです(大げさ?)


この驚きを老害っぽい昔話に例えると『トーキョーN◎VA The Revolution』でいまいちピンとこなかった登場判定の運用が『トータルエクリプス』ではっきり明示された時の感覚。
そーゆー意味では『エブリディマジック』とALGリプレイがセットで掲載されていないのが不思議に思えるぐらい。


で、何を興奮しているのかと言いますと。『エブリディマジック』が提供しようとしているものって
「GMとPLが共同でストーリーを作るという、一見あたりまえに思えるけど、実現は結構難しい課題に対する、新しいアプローチ方法の整備」なのかもしれないとか思ったりしたからなのです。


クライマックスに至るシーン数制限をPLに提示して、あとはGMとPLで刷り合せながらセッションを進める。ざっくり言うとこれだけなんですが、このシンプルなアプローチによって、GMからの押し付けだけでなく、PLのごり押しだけでもない、でもダラダラとせずに終わるセッションが実現しやすいんじゃないかと思ったわけです。


リプレイ中でも「参加者のイメージがシーンの原動力」といって、展開を参加者全員で話し合ったりしているのが印象的で。こーゆーリプレイって今まであんまり見たことがありません。


もちろん各種ハンドアウトテンプレートやストーリパターンテンプレートによって、PL側からシナリオへのコミットしやすい環境が整え、皆でセッションを作ろう感を盛り上げているのも見逃せません。


でもそんな感じはルールを読んだだけだとピンときにくいかもしれません(僕だけかも)。それにこのテキストでうまく説明出来ている気も全然しませんが、実際に遊んでいる「紅き世界より来たる者」を読むと、これは既存のGMの主導力が強いシナリオ進行から、かなりPLに対してシナリオにコミットする力を与えるためのシステムなのでは?と思えてきたのです。さらに言うならば普段GMをたくさんやっている人が、自分でPLを遊ぶ時のことを考えて作ったルールとでもいいましょうか。


もちろんシステムやツールがなくても、こーゆー遊び方は出来るとは思いますが、そのためにはかなり高度なハンドリングテクニックや、参加者の相性などの条件が成立しないとセッション辞退がこける可能性が高かったと思うのです。だから最近はあえて挑戦する気にもならず、どちらかとして忌避していた部分なのですが。。。


そこらへんを軽すぎず、重すぎずうまくシステム化しているなーと。


さらにこれ、GMを初めてみようという人のフォローもしやすいギミックだと思うのです。
PLがGMを盛り立ててセッションを成立させようという気概があっても、その情熱が噛み合わずに空回りする可能性は多々あるわけで。そこらへんの善意のパワーを有意義な方向(セッションが成立する方向)に向けやすいギミックじゃないかなぁと。


とにかく。個人的には普段GMをやらない人のもとでも、安心してPL参加してみたくなるシステムです。


ちなみに同系のアプローチでは『Aの魔方陣』にもあって(最初にシナリオ目的と時間制限を提示して、あとは参加者が話し合いながらシーンを作っていく)、あの時も凄いなーと思ったのですが、セッションを成立させるためのギミックとしては、他のシステムに流用するのは難しいと思っていたので。今回の『エブリディマジック』では「あ、キタコレ!!」という思いが強く。


ここ数年の間では個人的最大級ヒットのギミック*1じゃないかと、今更ながらに思ったりしました。
まだ実際に遊んでみたことないけど!!w

*1:その前はTRS