技能判定つれづれ

最近のリプレイをまとめ読みした後、技能判定によるシーン展開ギミック(いわゆるTRS、FS判定、技能チャレンジ)について取りとめとなく考えてみたという話。
書き出したら長くなったので要約すると。

技能判定システムの実運用を考える上で、リプレイはとても参考になる。
リプレイのシナリオ(ギミック)の多くは、プロが四六時中*1ゲームのことを考えて、情報収集したり、読み物として楽しませるために計算されている。
目から鱗が落ちることが多い。


以下、昔バナシ分を多分に含んだ、要約に至る思考経路。*2

TORG

最初に衝撃を受けたのは『TORG』でした。
このゲームは他にも色々と独創的だったのですが、その特徴的なシステムの一つ「ドラマチックな行動解決」は、インパクトがありました。4段階の段階判定(連続したシーン展開)、ハプニング(イベント)、プレイヤーの手札(リソース+演出)のギミックと完成されたシステムでした。が、完成されすぎていて、他のゲームには流用し辛かったんですよね。

判定分割

次の衝撃的だったのは、システムではないのですが、ベテランGM*3に教わった判定分割のテクニックかな。この前何処かで話をした時に、知らない人がいたので参考までに書いておくと。

GMが判定をコントロールする方法

GMをやっていてPLに判定を成功してもらいたい場合は、何度も判定させる。
そのうち1回ぐらいは成功するだろう。
(例:落ちて欲しくない落とし穴:「知覚」で気づくかどうか、「運動」でとっさによけられるかどうか、「軽業」でしがみつけられるかどうか、(他の人)が「筋力」でとっさに体を支えることができるかどうか)

GMをやっていてPLに判定して失敗してもらいたい場合は、何度も判定させる。
そのうち1回ぐらいは失敗するだろう。
(例:落ちて欲しい落とし穴:「知覚」で気づくかどうか、「運動」でとっさによけられるかどうか、「軽業」でしがみつけられるかどうか、「筋力」で自分の体を支えることができるかどうか)

いまとなってはアンフェア感が募る微妙なテクニックなのですが。
まー、当時は役に立ちましたよ。ハハハ。
昔は、判定に失敗したら、シナリオ進行に必要な情報が出なくて、セッションが停滞することがよくあったりしましたしね。そこからシナリオ進行に必要な情報は、判定とかしないでオープンにするというセオリーが出来たり。

TRS(ターゲット・レンジ・システム)

しばらく間が空いて。次に衝撃的だったのは、『ガンドッグ』のTRSでした。
段階判定(連続したシーン展開)を汎用的にしたシステムなんですが、シンプルながら、その再現力は半端でなく。一見ただのスゴロク。使ってみると実はスゴイ。また付属シナリオのTRSが分かりやすくて面白く、ルールとその実運用方法を理解すると、目から鱗が落ちるという凄いシステムでした。その当時狂ったようにさまざまなTRSを考えたり、他システムに流用しました。さながらTRS職人のように。


それから付属シナリオ以降は、R&Rvol.9掲載シナリオ「何日君再来*4のTRSがもの凄く大好きでした。情報収集とシーン演出がセットになったTRS。カッコよかったなぁ。
しかし個人的には、以降シナリオで提供されるTRSが割と普通な感じで、残念な気持ちになった記憶があります。

Aの魔法陣

実は最初にウェブやルールブックを読んだ時はさっぱり分からなかったんですよね。全ての目標(障害)を難易度として扱い、全ての行為を達成値として扱い、制限手番内に、積み上げた達成値を難易度に達すれば目標(障害)クリアというシステムなのですが。これが何を意味して、どんな再現力があるのかは、実際にベテランSD*5にセッションを回してもらうまで、さっぱり分かりませんでした。そしてその後、なんだ、この自由度、この再現力!?と驚愕。


ちなみに今でも『Aの魔法陣』は凄いと思うのだけど、基本ルールを理解するのは難しいのと、面子の相性があるのがネックかな。ちなみにルールとしては『Aの魔法陣 ガンパレード・マーチ編』が分かりやすく。チュートリアル、ゲームバランス、セッション運用イメージと分かりやすく、とっつきやすくなっている、と個人的には思うのですが、ガンパレというテーマがとっつきやすいとは言えず。ちょっと残念な感じです。

実プレイへの影響

で。その当時、僕はD&D 3.XのDMをすることが多かったのですが。
TRSのような段階判定、Aマホのような達成値の積み上げを、かなり多様していた記憶があります。
これはイケる!と思って、シナリオを書いて、DAC2006のDMをやりにいったことも良い思い出です。


この時に気を付けたのが

  • (なるべく)様々な技能を使用するように設定する。リアルリアリティとか気にしない。
  • (なるべく)PLのアイデアを否定しない。ただし同じ技能のゴリ押しは除く

の2つ。
この2つで、単独の判定の連続では表現しづらいシーン展開がやりやすくなり、GM(DM)の1人の想像力では生まれない世界の広がりを実感出来ました。特にPLの強引で苦し紛れのアイデアを聞くのが楽しかったなぁ

フォーカスシステム(FS)/技能チャレンジ

その後、所謂FEAR系のゲームにフォーカスシステム(FS)や、D&D4thが技能チャレンジが実装されました。驚きはなかったですが、手堅いシステムでした。活用しようと思いました。でも凄いな、と衝撃を受けることはありませんでした。しかし時間が経つにつれ、じわじわと、そして圧倒的に、これら後発ゲームの凄さが伝わってきました。それは豊富な利用例です。


例えば技能チャレンジ。DMGの時点では正直システムの利用イメージが伝わりづらかったと思います。でもプロのシナリオライターが色々と試行錯誤して、それがシナリオとして発表されて、それがDMG2に反映されて、そして今もまだ進化してる。この豊富な利用例が、シナリオを読むか、もしくはそのシナリオのセッションに参加しないと、触れることが出来ないというのは残念です。が、仕方がないかな。


それからフォーカスシステム(FS)。こちらもシナリオやサプリメントで豊富な利用例が提示されています。
加えて、最近リプレイが凄いと思うようになりました*6
よくよく考えると、プロがプレイヤーや読者を楽しませるために練りに練って計算されたギミック、そしてその運用方法が書かれている、これって凄くない?と思うわけです。そして要約に至るわけです。


実のところ。ここしばらくリプレイを買って積読ループが定着していました。
もしかしたら内心これはリプレイを読まなくなる流れなのかなと思ったりしていたのですが。現在再びスイッチが入り、連続して読み始めた次第。やっぱり面白いなー。


と。
とりとめとなく、長々と書いてはみたものの、結論としては、別に大した話ではありませんでした。
ま、いつものことですw

*1:オーバーか。でも仕事で考えてるわけだから、標準的なゲーマー(除く修羅)よりは圧倒的に長いと思われる。

*2:いくつかのシステムのことを書いてますが、出版順とかは関係なく、あくまで僕が目にした順番で書いています。またシステムの優劣やパクったとかの話ではありません

*3:馬場秀和さん

*4:作:小林正親

*5:井上(仮)さん

*6:今までも読み物としてだったり、楽しく遊んでいる雰囲気だったり、そのシステムの運用イメージだったりを楽しんでいました