『MARVELヒロイックRPG』システム紹介ミニリプレイ「ナイト・ウォッチ」

ウォッチャー:はい、では『MARVELヒロイックRPG』を遊びます。
プレイヤー:いきなりだね。
ウォッチャー:勢いで押し切ろうかと。では早速。

『MARVELヒロイックRPG』とは

 アベンジャーズやファンスティック・フォー、X-MENのような、マーベル・ユニバースのスーパーヒーローになって遊ぶTRPGです。
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TRPGとは

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ゲームマスター(GM)は、ウォッチャーと読み替えてください。

ヒーロー作成

ウォッチャー:で、今回はこのゲームを君と僕の2人で遊びます。
プレイヤー:イェーイ! それでまずは何をどうすればいいの?
ウォッチャー:キミにはマーベル・ユニバースのヒーローの1人を操ってもらいます。
プレイヤー:誰でもいいの?
ウォッチャー:突き詰めると誰でもいいのですが、今回はルールブックの掲載されているデータファイル[BR50]から選んでください。
プレイヤー:結構たくさんあるね。えーと23人。
ウォッチャー:それでもマーベルヒーローのほんのひと握りです。
プレイヤー:どれを選ぶと有利とか、遊びやすいとかある?
ウォッチャー:いや今回はあんまり。シンプルに好みや印象で決めてもらっていいです。
プレイヤー:そっか。じゃ、スパイダーマンにしようかな。
ウォッチャー:いいですね。まさにマーベルを代表するスーパーヒーローです!


ウォッチャー:これがスパイダーマン(スパイディ)のデータファイルシート[BR78]です(紙をわたす)。
プレイヤー(以下スパイディ):何か決めることある?
ウォッチャー:ないです。名前も能力も決まっています。
スパイディ:確かにそりゃそうだ。(シートを見ながら)キーワード〈大いなる力には大いなる責任が伴う〉とか、パワーセット《スパイダー・パワー》とか、それっぽいね。
ウォッチャー:ゲームのルールは遊びながら説明するので、さらっと流し見てもらえればOKです。
スパイディ:え!?
ウォッチャー:どうしました?
スパイディ:(データファイルの来歴を読んで)ピーター・パーカーが教師で、メリー・ジェーンと結婚してる!
ウォッチャー:このゲームでの設定は、アメコミの『アベンジャーズ:ディスアセンブルド』より後で『ハウス・オブ・M』より前の時期になっています。
スパイディ:ごめん、アメコミは詳しくないからよくわからない。
ウォッチャー:いや、とりあえずそういう設定になってますというだけの話で知らなくて問題ないです。
 映画やアニメやゲームで色々な設定のスパイダーマンがいるので、あまり気にせずに「ぼくがかんがえたかっこいいスパイダーマン」で遊んでもらえればOKです。
 年齢もガールフレンドとの関係も今回は好きなように変えてもらって構いません。
スパイディ:確かに映画もサム・ライミ版とアメイジングMCUマーベル・シネマティック・ユニバース)では別設定だしね。
ウォッチャー:で、どうします?
スパイディ:今回はこのデータファイル通りにやってみるよ。大学を卒業して、教師になって、新婚のピーター・パーカー。
ウォッチャー:ちなみにメリー・ジェーンはモデル兼女優をやってるということでいいですか?
スパイディ:いいよ。共働きだね。というか奥さんのが収入高そう。
ウォッチャー:あと彼女ははピーターの正体を知っていることにします?
スパイディ:さすがに一緒に暮らているから正体は明かしているんじゃないかな。
ウォッチャー:では危険だから心配をしているけど、スパイダーマンとしての活動には理解があるといった感じにしましょう。

セッティング

ウォッチャー:今回の話の舞台は、ニューヨークです。すぐ近くの目と鼻の先のイースト川には島があって、そこにはスーパー・ヴィラン用の監獄、通称”ラフト”(いかだ)という施設があります。
スパイディ:イカーズ刑務所のイメージね。
ウォッチャー:そしてつい数週間前、その監獄からの囚人脱獄事件がありました。
スパイディ:大変じゃん!
ウォッチャー:そう大変です。しかも1人2人の囚人が脱獄したというわけではなく、監獄に大規模な襲撃があり、どさくさに紛れて、大人数の囚人が大脱獄しました。
スパイディ:マジかー。
ウォッチャー:そのためニューヨークをはじめ世界各地に脱獄した囚人を捕まえないと大変な状態です。たくさんのヴィランがいっぺんに野に放たれ、街の治安は急速に悪化しています。
スパイディ:脱獄者のリストとかはあるの?
ウォッチャー:うーん。政府は脱獄者リストを公表しているけど、実は政府が公表していない極秘の囚人もいた。その人たちも脱獄してしまっていて、本当の脱獄者の全貌は把握出来ていないぐらいの方が、いろいろ夢があるかと。
 突然、最近見ないなと思っていたヴィランが脱獄していて、ヒーローに復讐をしに現れるとか。逆に無実の罪で捕まっていたけど、脱獄して真犯人を捕まえようとしているとか。
スパイディ:いいね。燃える設定だね。
ウォッチャー:でもそのせいで最近のスパイディの活動も大忙しです。寝不足で仕事中にあくびをしたりミスをしたり。あとMJ(メリー・ジェーンの略称)とすれ違いの日々が続いていたり。
スパイディ:じゃぁ、MJにSNSで「お仕事おつかれさま。夕食はテーブルに用意しておくね。明日も忙しいだろうから先に寝ててね」とか送っておきます。
ウォッチャー:そうそう。そんな感じで、今日も夜な夜なニューヨークの摩天楼で夜のパトロールに勤しんでいるわけです。
 そしてキミが高層ビルの屋上で、身体を丸めた独特のポーズでしゃがみながら、眼下の灯りを見下ろしていると、今回の事件が起こります。
 まずはイベント・マイルストーンを提示しますね。

●イベント・マイルストーン:街の狂乱に収拾をつける

凶悪なヴィランが何人もラフトから脱獄した。街のパワーバランスは崩れ、混乱が広がっている。しかし嘆いている暇はない。一刻も早く、一人でも多く脱獄囚を牢獄へと連れ戻し、事態の収拾を図るのだ。

  • 1XP:ヴィランを打ち倒し、捕まえた時に得る。
  • 3XP:その場にいた無力な人びとや味方を助けるため、敢えて逃亡者を逃がすと選択した時に得る(シーン1回)。
  • 10XP:混乱の背後にいる脱獄囚を追い、彼らを当局に引き渡した時に得る。または脱獄囚の仲間になると決めた時に得る(アクト1回)。

ウォッチャー:これはヒーローと今回の話(イベント)を結びつける指針です。ウォッチャーとして、こういうことやって欲しいという要望を提示して、それに従った行動をすると経験点(XP)を獲得します。
 同じ書式で、ヒーローのデータファイルシートにも、2つのマイルストーンが記載されています。スパイダーマンの場合は、

マイルストーン:チーム・プレイヤー
  • 1XP:自分のチームメイトでない他のヒーローを支援した。
  • 3XP:チーム内での君の立場に関してチームのメンバーと対立した(シーン1回)。
  • 10XP:チームを離脱するか、家族を犠牲にしてチームに加入した(アクト1回)。
マイルストーンスパイダーマンの宿敵
  • 1XP:あるヴィランを君の昔からの敵だと宣言した。
  • 3XP:前述の敵からトラウマを受けた(シーン1回)。
  • 10XP:前述の敵に赦しを与えた。あるいはその敵から赦しを乞われ、見逃してやった(アクト1回)。

ウォッチャー:最終的にイベント・マイルストーンと、自分のマイルストーンの中から、2つを選んで使用します。今回はヒーローは1人なので「街の狂乱に収拾をつける」と「スパイダーマンの宿敵」でお願いします。
スパイディ:とうことは宿敵が出てくるんだ!
ウォッチャー:スパイディはいろいろな敵と戦っているから、大抵は昔からの敵なんじゃないかな。あとあくまでマイルストーンは指針なので、僕がウォッチャーをするときは一字一句に拘らず、拡大解釈してフレキシブルに運用できればと思っています。適時相談させてください。

オープニング

ウォッチャー:夜のニューヨーク。繁華街のネオンが瞬き、大勢の人々が行き交っている時間帯。普通車を何台も追い抜き、他と段違いのハイスピードで疾走する車がある。サイレンが点灯している気配もなく、パトカーや救急車のような感じではない。黒スポーツセダンだ。そしてそのセダンを、グレーのSUVがもの凄い速度で追っている。要は夜の街で危ないカーチェイスをやっていて、いつ事故が起きても不思議ではなく危険な状態です。
スパイディ:それを高層ビルの屋上で見ていた僕は『やれやれ。ニューヨークの街がレース場に不向きなことを知らないなんて、お上りさんかな』とつぶやいてから、クモ糸を使ってスイングしながら、ビルの狭間を華麗に空中移動しよう
ウォッチャー:ではキミは夜のビルの狭間を駆け抜け、暴走する2台の車の上空にたどり着きます。車は、速度を落とすことなく、赤信号で交差点に飛び込み、交差点は機能不全に陥っています。
スパイディ:『こりゃ危険だ。彼らが大人になるまで見守ってあげるわけにはいかないな』
ウォッチャー:とつぶやいた瞬間、後方のSUVが横から出てきたバスと激突して、大きく空中に浮かびあがります。そして空中のSUVが道路脇のレストランに突っ込んでいく光景が、スローモーションで見えます。
スパイディ:それはマズイ。なんとか出来る?
ウォッチャー:車がレストランに突っ込むのを止めようとするダイス・ロールが出来ます。ただしその場合は、前を走っていたセダンを見失ってしまいます。
スパイディ:それはあとで探せばいい。まずは事故を防がないと。
ウォッチャー:いいヒーローですね。では事故を防ぐことが出来たか、ダイス・ロールをしてみましょう。

●ダイス・ロール

ウォッチャー:ダイス・ロールをするためには、まずはダイス・プールを集めます。自分のデータシートから使用可能な能力を選んで、ダイスを集めていきます。
 まず連携。アクションの中核です。1人の場合は〈ソロ〉、相棒と2人の場合は〈バディ〉、3人以上で行動する場合は〈チーム〉の連携ダイスを使います。
スパイディ:いまは1人だから〈ソロ〉D8だね。スパイディは〈バディ〉D10で、〈チーム〉がD6なので、2人で行動すると一番活躍できるけど、大人数は得意じゃない感じか。
ウォッチャー:普段1人で活動していて、チーム連携の訓練をきちんと受けていないとかイメージできるかと
スパイディ:確かに。
ウォッチャー:次はキーワードから1つを選べます。
スパイディ:どれどれ。スパイディのキーワードは〈大きなる力には大いなる責任が伴う〉〈心やさしいご近所ヒーロー〉〈へらず口〉。
ウォッチャー:あとこの場面を演出するシーン・キーワードが3つあります。〈信号機〉〈行き交う一般車〉〈道路工事現場〉。この中から使っても構いません。
スパイディ:自分のキーワード+シーン・キーワードの中から1つね。じゃぁ今回は〈信号機〉を使おう。クモ糸を車と信号機に絡めて地面に落ちないようするイメージ。
ウォッチャー:いいですね。キーワードは、D4+1プロット・ポイント(以下PP)か、D8になります。が、PPはあとで説明するので、今回はD8を追加してください。
 次、パワーセットにつきパワー1つ。
スパイディ:《クモ網投げ》から〈スイングライン〉でD8。、《スパイダー・パワー》から〈超人的な怪力〉でD10。
ウォッチャー:最後に専門技能1つ。
スパイディ:これはもちろん〈アクロバットの達人〉D10じゃないかな。クモ糸を車と信号機に絡めて、あとは遠心力と怪力で車を止める。
ウォッチャー:そんな風にデータを宣言しながら、アクションの演出をしていくといい感じです。では最終的に

ソロ:D8
キーワード:D8
パワー:D8、D10
専門技能:D10

で、合計D10が2つと、D8が3つがダイス・プールになります。
スパイディ:わお。いきなりたくさんだね。えい!

D10[6][4]、D8[7][2][1]

ウォッチャー:まず出目1のダイスは脇によけておいてください。後で使います。
 その他のダイスから、2個選んで出目を足してください。それが合計値になります。合計値は大きい方がいいです。
スパイディ:ではD10[6]とD8[7]を使って、合計値は13だね。
ウォッチャー:さらに残ったダイスから効果ダイスを選んでください。今度は出目ではなく、ダイスの面数が大きい方がいいです。
スパイディ:ということは効果ダイスには、D10[4]を使えばいいね。
ウォッチャー:最終的に、合計値が13、効果ダイスがD10、チャンス(1の出目が出た数)が1となります。
スパイディ:残ったD8[2]は?
ウォッチャー:使いません。
スパイディ:ふーん。たくさんダイスを振ったけど、計算はあまりないからそんなに難しくないね。ところで今回のダイス・ロールは合計値をいくつ出せば成功だったの?
ウォッチャー:それを今から決めます。このゲームはすべてのダイス・ロールは対抗判定になります。
スパイディ:今回みたいに対抗する存在がいない場合は?
ウォッチャー:ウォッチャーは、ドゥーム・プールというものを持っています。世界の反発力というか、物語の強度というか。とにかくこのドゥーム・プールでリアクションのロールを行ないます。通常アクトの開始時のドゥーム・プールはD6が2個です。
スパイディ:開始時ということは、変わるんだ。増えるの?減るの?
ウォッチャー:増えます。それがチャンスです。ヒーローが出目1を出したので、その隙に付け込んで、ドゥーム・プール(以下DP)にD6が加わります。
スパイディ:いきなり増えてる!ということは1は出さない方がいいんだね。
ウォッチャー:一概にそうとも言えません。出目1でDPは成長しますが、その変わりPPというヒーローを強化するポイントを獲得しています。これは出目1で危険度が増し、盛り上がるから、物語に貢献しましたね、みたいな感じで。
スパイディ:ピンチはチャンスってやつだね
ウォッチャー:ちなみにヒーローはPPをゲーム開始時に1ポイント持っていて、今チャンスが1個あったので、PPは計2ポイントになります。PPについてはまたあとで説明します。
 では早速、DPでリアクションします。D6が3個。

D6[4][3][3]

ウォッチャー:ウォッチャーも先ほどと同じように処理をして、合計値は7、効果ダイスはD6、チャンスが0になります。
 で、スパイディの合計値 13とウォッチャーの合計値 7を比べて、大きい方が成功。同値の場合はアクション側が成功になります。
スパイディ:効果ダイスは?
ウォッチャー:ダメージを出す時の威力に使いますが、今回は特に使用しません。以上が基本的なダイス・ロールのやり方です。
スパイディ:OK、だいたい分かった


ウォッチャー:黒のセダンは走り去り、道の信号機にはクモ糸にぶらさがったSUV。それを道路脇のレストランでは大勢の客があんぐりと口を開けて見ています。
スパイディ:『騒がしちゃってごめんね。これはあーそのーNYではそのよくあることで。いやよくあっちゃいけないんだけど。その、とにかく夕食楽しんで。じゃ、ごゆっくり』と言ってその場を繕おうとします。
ウォッチャー:あとマイルストーン「その場にいた無力な人びとや味方を助けるため、敢えて逃亡者を逃がすと選択」の3XPを得ます。
スパイディ:そうだ。それ忘れてた! あとSUVの中にいる人は怪我してるかな?
ウォッチャー:キミが助けたから無事ですね。4人いますが気絶しているか、キミが拘束していることにしましょう。あ、こいつらもヴィランなので、4人まとめて「ヴィランを打ち倒し、捕まえた時に得る」の1XPということにして獲得してください。
スパイディ:やったね!あとこいつら誰?
ウォッチャー:街の裏社会を牛耳るスーパーヴィラン、キングピンの部下たちです。モブ(群衆)でデータとしては4人で1体のチンピラです。なおこのモブは現行犯で目撃者も多数いるので警察に引き渡せますが、そこからキングピンまでは辿れません。
スパイディ:じゃあ逆にこいつらは、誰を追っていたの?
ウォッチャー:話を聞くと、脱獄囚トゥームストーンが娑婆に出てきて、キングピンの縄張りで暴れ回っている。今回は幹部の一人を誘拐した。やつは元々キングピンの配下だったのに、ふざけた野郎だ、みたいな話です。
スパイディ:ごめん。そのヴィランのことは知らないんだけど。スパイディと面識ある?
ウォッチャー:本名ロニー・トンプソン・リンカーン。黒人種のアルピノで肌は真っ白。その顔色と積み上げてきた殺しの仕事っぷりからトゥームストーン(墓石)と呼ばれています。大柄で怪力自慢の肉体派。スパイディとは何度も戦っていて、肉体的にはとてもタフややつです。だいたいそんな感じで、
スパイディ:OK、とにかく脱獄囚だから、見つけて捕まえなきゃね。
ウォッチャー:そう決意したところで、オープニングを終了します。

ACT1:アクション

ウォッチャー:ではトゥームストーンが潜伏する港の倉庫近く。
スパイディ:展開早いな!
ウォッチャー:ニューヨークはスパイディの庭みたいなものですから。セダンの足取りは数時間かけて追うことが出来たけど、そこは描くまでもないところだと思ってください。
スパイディ:じゃあ、実はさっき走り去るセダンに咄嗟に発信機を投げていたとかどうかな?
ウォッチャー:いいですね。では《スパイダー・パワー》のSFX:スパイダー・トレーサーをつかっていたみたいな演出で、セダンの目立たないところにクモ型発信機がついていて、それを追ってやってきたということにしましょう。それで倉庫の中に入って、ヴィランを視認するところまでやっちゃっていいですよ。
スパイディ:カサコソと壁歩きをして、天井近くの窓から、灯りが漏れているところを見つけて、中に入るよ。そしてクモ糸を使って、天井の鉄骨にぶら下がって、下を見る感じで。
ウォッチャー:では下ではトゥームストーンが大きな声で「キングピンは俺を捨て駒に使いやがった。あげくお前みたいな小物に俺の跡目を継がせるとはな。笑えるな。いや笑えねぇ。くそくそくそ」とか怒鳴り声をあげつつ、派手なスーツを着たギャングをサンドバックのように殴っています。
 殴られた男のスーツはあっという間に自分の口や鼻からこぼれた血で染まっていき、殴られている男が苦し気に「おい、俺に手を出すということはキングピンに歯向かうということだ。分かっているのか」と言うと、「ああ分かっているさ。前々から奴は俺をゴミみたいな目で見て見下していた。いつか見返してやりたいと思っていた。今がその時だ!」
スパイディ:クレイジーだね。前からこんな感じだった?
ウォッチャー:ちょっと拍車がかかった狂気的な感じです。
スパイディ:ではスルスルっと天井から頭を下に降りて行って、『やあトゥームストーン久しぶり。しばらく見ないうちに髪切った?なんか雰囲気違うけど』とか言ってから、彼を取り押さえようとします。
ウォッチャー:『貴様を呼んだ覚えはないぞ、クモ男。だがちょうどいい。貴様への借りもここで返させてもらおう』といってアクションに入りましょう。
 まずシーンキーワードは〈暗がり〉〈コンテナの山〉〈黒のセダン〉です。
 登場しているヴィランは、トゥームストーンが1人です。ヒーローと同じようなデータを持っていて、同じようにダイス・ロールをします。
 行動順番は、ヒーローが先です。
スパイディ:とはいえ殴りあってもタフみたいだからなぁ。なんか行動不能にして捕まえるとか出来ます?
ウォッチャー:このゲームには、肉体ストレス、精神ストレス、感情ストレスというゲージがあって、それぞれD4、D6、D8、D10、D12、ストレスアウトという6段階があります。まぁヒットポイントが6点あるみたいなイメージです。それ以外にも「妨害」というステータスがあり、D6、D8、D10、D12、行動不能の5段階があります。
スパイディ:「妨害」いいね! それで行動不能を狙おう。
ウォッチャー:ではダイス・プールを集める宣言をお願いします。
スパイディ:連携は〈ソロ〉でD8。キーワードは〈へらず口〉で『借り?なにか借りていたっけ? もしかして気づかなかったけど前回はわざと負けてくれてた?』とか言ってD8。
ウォッチャー:そのセリフでマイルストーンの「あるヴィランを君の昔からの敵だと宣言した」の1XPも獲得できますね。
スパイディ:それだ!あと《スパイダー・パワー》の〈超人的な反応速度〉で相手の攻撃をかわしてD10、《クモ網投げ》の〈武器〉で相手を取り押さえようとするD8。あとデータファイルに書いてある SFX:絡め取りは使える?
ウォッチャー:OKです。ではさらにD6で、効果ダイスを1段階アップですね。
スパイディ:あと専門技能で〈戦闘術の熟練者〉でD8。ダイス・プールはD10が1個、D8が4個、D6が1個。
ウォッチャー:それからここでダイスを振る前にPPを1点消費すると、さらにパワー・セットか専門技能を1つ追加できます。
スパイディ:PPは2点持っているから試しに使ってみるかな。では〈アクロバティックの達人〉を追加して、右に左にアクロバティックに避けて、相手の動きに隙を作ろうとするよ。
ウォッチャー:OKです。ではダイス・プールはD10が2個、D8が4個、D6が1個。

D10[7][3]、D8[7][7][6][2]、D6[3]

スパイディ:なかなかいい出目だ。合計値はD10[7]とD8[7]で14、効果ダイスはD10[3]、チャンスは0だ!
ウォッチャー:そしてここでダイスを振った後にPPを1点消費すると、合計値にダイス1つを加えることが出来ます。
スパイディ:合計値14は結構高いと思うけど、これ以上高い方がいいことある?
ウォッチャー:リアクション側の合計値と比べて 5以上高いごとに、効果ダイスが1段階アップします。
スパイディ:なら高い方がいいね。一気に畳みかけよう。PP1点を消費して、合計値はD10[7]とD8[7][7]で21、効果ダイスはD10[3]、チャンスは0。決まった!
ウォッチャー:ではリアクションします。トゥームストーンも連携は〈ソロ〉でD8。キーワードは〈威圧的な外見〉で圧をかけてきて D8。パワー・セットは《ミュータント腕力》から〈超人的な怪力〉でクモ網を引きちぎろうとしてD10。ここでSFX:粉砕者を使用して、ドゥーム・プールからD6を消費して、〈超人的な怪力〉を2倍にしてさらにD10。最後に専門技能の〈戦闘術の達人〉でD10。
 最終的にダイス・プールはD10が3個、D8が2個。

D10[7][7][3]、D8[1][1]

ウォッチャー:いまいちな出目ですね。合計値はD10[7][7]で14、効果ダイスはD10[3]、チャンスは2個。
スパイディ:チャンスは、ヒーローのプールが増えたりするの?
ウォッチャー:増えません。このタイミングでPPを消費すると使える効果があるのですが、今はPPがないので省略します。
 これで合計値21-14=7の差分になるので、効果ダイスが1段階アップする大成功です。それからSFX:絡め取りで効果が1段階アップするので、一気にD10→D12→行動不能になります。すごい!
スパイディ:ではクモ網でグルグル巻きにして拘束します。『さあ帰ろうか。懐かしの家(収容所)に』。
ウォッチャー:これで「ヴィランを打ち倒し、捕まえた時に得る」も達成です。+1XPで計5XP。
スパイディ:「混乱の背後にいる脱獄囚を追い、彼らを当局に引き渡した」も達成?
ウォッチャー:まだ当局に引き渡していないので、もうちょっと待ってください。
スパイディ:あ、もしかして一発殴られていたら「前述の敵からトラウマを受けた」も達成できてた?
ウォッチャー:そうですね。
スパイディ:しまったなー。でも殴られるよりはいいか。


ウォッチャー:で、拘束されたトゥームストーンですが、狂ったようにわめき続けて尋常ではない感じです。よく見ると目も血走っていて、焦点があっていない感じです。
スパイディ:『ちょっと頭を冷やそうよ。マウンテンデューとか飲む?いらない?それじゃ』と口をクモ糸でぐるぐる巻きにして黙らせるよ。
ウォッチャー:静かになりました。
スパイディ:明らかに様子がおかしい感じなんだよね?なにか原因がわかる?
ウォッチャー:では首裏あたりに、骸骨と6本の触手のマークのタトゥーがこれ見よがしに彫ってあります。
スパイディ:知ってる。ハイルヒドラ! でもヒドラってキャプテン・アメリカの敵じゃなかったけ?
ウォッチャー:ナチスの流れを汲む、世界規模の悪の秘密組織と思ってください。で、状況からトゥームストーンが何らかの洗脳処置を受けているんじゃないかと推測できます。
スパイディ:『黒幕にヒドラ?ちょっとキャップ不在なんだけど』
ウォッチャー:というところに、シャキンという音がして、壁に6本の亀裂が入ります。3本は左上から右下、3本は右上から左下、重なった三つの×みたいな感じ。そして壁が崩れて、逆光の中に男が見えます。 背は小さく、がっしりとした体形で、両腕から3本ずつの長い爪のようなものが伸びています。
スパイディ:『やあ、ウルヴァリン。派手な登場だね』
ウォッチャー:そう、ウルヴァリンです。ですが彼はあいさつには答えず、焦点があっていない目をキミに向けます。そして誰にともなしに『俺の右に出る奴はいやしねぇ』と言って殺気を放ちます。
スパイディ:あれ?これもしかしてちょっとヤバイことになってる?
ウォッチャー:はい。で、大きなコマで唸り声をあげて飛び込んでくるウルヴァリンと、ジャンプして避けようとするスパイディが映って、「Next Spider-man VS Wolverine」とか煽り文字が出て、一旦シーンを終了しましょう。
スパイディ:マジかー。


to be continue?